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パァ~プゥ~♪

お豆腐屋さんのラッパの音を耳にして

とっくりのセーターに、かっぽう着姿。
つっかけ履いて鍋を手に小走りをする母。

「絹ひとつ、お願いね」



自転車の荷台には木の箱が二段あり

下の段には水を入れてあって
その水の中にはお豆腐。

上の段には油揚げや厚揚げが並んでいたっけ。



お勝手には
かつを節を削る木の箱があって

その木の箱には
まるで木の棒みたいなかつを節が入っていて

それを削るとき
うまい具合の角度で削れないと叱られた。



堀ごたつの横には
やかんの載った火鉢と
魔法瓶と急須
それに茶筒と湯のみがあって

食事の前に
みんなのお箸を並べるのは
まだ小さかった私の仕事だった。



いつだったか息子に
「魔法瓶もってきて」と
そう言ったら

何か楽しそうな顔をして
周囲をキョロキョロし始めた。

魔法ビン~♪

『【魔法のビン】
それはきっと、ステキなモノに違いない』

そんな思考が頭の中をグルグルまわり
ワクワクしながらモノ探しをする息子は可愛かった。



お湯も沸いたところで
「ポットのコトよ。魔法瓶って」と言う。



実は
お母さんは魔法使いで

これにお湯をいれて呪文を唱えると
お水みたいに冷たくはならないのよ



そう言ってみようかとも思ったけれど
そうするには
息子はチョットお兄さんだったし
何と言っても、既にポットを知っていた(笑)。

ま。
言ったら言ったで
ニヤニヤしながら聞いてくれたかも知れないね。



………。



最近、とんと耳にしていないな。
お豆腐屋さんのパァ~プゥ~。



では、また。でございます。tomo

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2009/09/08 20:00 | らくがきのおと

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